当家祭のお渡りの際にゴクカツギが親族とともに運んでいく桶入り神饌ができあがった。朝から3時間もかかってしまったと笑う一老さん。三年間も対象の子供がいなかったので作り方をすっかり忘れてしまったが、先代の一老さんが残しておいた記録帳を参照しながら作ったそうだ。一際目立つのが五色の御幣。カラフルな赤、紫、緑、黄、白色の幣の上には茗荷が挿されている。御幣は55軒に配られるので余裕をみて60本も作った。土台は餅だ。石臼で搗いた餅の周りには白い紙で巻かれた稲が2本。ぐるりと二重に巻いているので四本に見えるが、目をこらせば先に稲髭が二本、ぴょんと立てており、東山中で見られるモッソに形状が似ている。桶には里の幸が飾られている。三種は六センチの長さの枝を束ねたものを土台にしている梨、茄子、蜜柑。一方の三種は白い紙で巻かれた筒のような形の中に納める棗、栗、栢の実だ。いずれもカワラケに盛っている。棗や栢の実は家で成ったものを使ってきたがその木も枯れたりして集めるのに苦労するという当家さん。栗も本来はカチグリと呼ぶ山栗を使うのだが見つからない。仕方なくお店で売っているものになった。桶にはそれ以外に両端に小さな餅をつけた荷い餅と祝い箸が添えられている。桶入り神饌は御膳(キョウ)とも言うようだ(H21.10.10撮影)
奈良市(下)山町 「当家祭の御供」
【奈良市(下)山町 「当家祭の御供」】
奈良市(下)山町 「桶入り神饌の御膳」
【奈良市(下)山町 「当家祭の御供」】
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