壱番頭家の門口に「崇道さん」と呼ばれるお社を祀る田中町の頭家祭。芝生を張り杉葉で覆い鳥居を立てる。(以前は割り木の束を社の台にしていた)大きな桶に二膳の柳の箸を添えて、素焼きの器に盛った洗米、開きのカマス二尾、サトイモ五個、新ショウガ2房、青豆五粒、お神酒を供える。呼び使いを受けた七人衆、自治会長、神社係が集まってきた。座敷では決められた席に座る。下座には白の神衣姿の頭家子(とうやご)と呼ばれる壱番と弐番頭家の男児が座る。「始めさせてもらいましょか」と長老の挨拶で儀式が始まった。当主である壱番頭家子の親は無言で紅白饅頭を上座から配膳していく。自分の子どもにも頭を下げて配っていく。その次は昆布茶を同じように差し出していく。配り終えると、一同は揃って饅頭を口に入れて茶を飲む。そして、当主は「何も判りませんがよろしくお願いします」と口上を述べて儀式が終わった。かって生まれた順に座入り登録された壱番頭家、弐番頭家、参番頭家、四番頭家の四人だった。宝永六年(1709年)の「座入り帳」には壱番頭、弐番頭、参番、四番の記録がある。元禄時代の大火に見舞われた田中村。その前の記録はすべて焼けてしまったので何時から始められたか判らないが、少なくとも300年以上も亘り祭礼が続けられている伝統行事。制度改定で養子も座入りしていた昭和49年ころ、登録順であるなら生きている間に頭家に当たることが難しいと意見がだされて年齢順に替わった。少子化時代のご時世、子どもは少なくなり継承してゆくことさえ困難になってきた。いずれ廻り頭家にする時代がやってくるだろうと長老らはいう(H21.10.24撮影)
田中町八王子神社 「崇道さん」
【田中町八王子神社 「崇道さん」】
田中町八王子神社 「当主家の儀式」
【田中町八王子神社 「当主家の儀式」】
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