お十夜の法要といえば、かっては十日十夜の連夜にわたり営まれてきた。生活文化の変化によってほとんどのところでは短縮されて十日の一夜になっている。奈良市都祁白石の興善寺もこの夜に営まれている。日が暮れるころ、生御膳が供えられた本堂に檀家衆らが集まってくる。両脇にお花と果物やお菓子を添えた生御膳。料理されない生のままで造られるので生御膳と呼ばれている。輪切りしたニンジンを螺旋状に串挿ししたものとパズルのように組み合わせた半切りにしたカボチャは特異な形状に造られている。その前は秋の味覚のマツタケ。松に添えられていて、シャレっけがあるお供えだ。外陣の両柱には直径40cmもの大きな鉦が床机台(鉦座)の上に置かれている。これは双盤鉦(そうばんがね)と呼ばれるもので、鉦を打ちながら称名念仏を唱える鉦講衆の大切な道具だ。(H20.11.10撮影)
白石興善寺 「十夜の生御膳」
白石興善寺 「十夜の生御膳」
白石興善寺 「双盤呼出鉦」
白石興善寺 「双盤呼出鉦」
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