「じゅうにちじゅうや」と呼ぶ「十日十夜」の法要はその名のごとく十日間、十夜に亘って念仏を唱える法会である。十日法要すれば、佛の世界では千年間も善行したことになるそうだ。近年は数日間、或いは一日に短縮されるところが多い。室生下笠間の春覚寺は17日の夜に法要をお勤めされる。祭壇には住職が作られた生御膳が供えられる。細長いドロイモを細工して作ったマッタケ。ダイコンに挿して松を飾った。もうひとつはニンジン三本を立てた色物御膳。パセリの葉が妙に似合う。生御膳は収穫したものを使い、閃いたインスピレーションで作り上げるから毎年同じ物とはならないという。一番鉦が15分前に鳴らされた。いわゆる呼び出しの鉦だ。そのころから風呂敷に包んだ重箱を抱えた村人が集まってきた。中には収穫した新穀一升で佛さんに納め供える。法要後によばれるのっぺ汁の接待も収穫したもの。十夜は、勤労に感謝し収穫を喜ぶ夜でもある。オヒカリが点され二番鉦が鳴ると法要が始まった。約70人も集まった堂内。読経のなか導師が入堂する。「願わくばー、ゆうーずーねんぶつ、ナムアミダー、ナムアミダー」と協奏曲のように和音が響き渡る(H21.11.17撮影)
下笠間春覚寺 「十夜法要」
下笠間春覚寺 「十夜法要」
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