高田の亥の子祭りは暴れが目立つが本来は山口神社の分霊を祀る頭屋の引渡しを兼ねた神送りの祭礼が主体だ。年長者の大頭屋、若い方を小頭屋の二人が同神社を一年間に亘り社域を管理する。大頭屋では、毎日、分霊を祀った屋形に向かい灯明をあげてお勤めをする。亥の子祭りでは暴れ亥の子の用具やハチマキメシ膳などを作る。当日の昼ころ、半紙で象った御幣をご神体に供える。ご神体は社奥にある立木、あるいは吉野町河原屋でオナンジ参りして拾ってきた小石だともいわれている。暴れ亥の子が山へ去った夜半、屋形を抱えた二人の頭屋は真っ暗な道を無言で同神社まで向かう。到着するとご神体が遷った御幣を入れ替えて再び暗闇の道を戻っていく。足下はまったく見えないので道から外れる側溝に落ちることもある。そして、屋形は電灯を消した次頭屋宅に持って行く。無言で入り暗闇のなかで屋形を納め、大頭屋が拍手を打って灯りが点けられる。神送りの祭礼は「御分霊の遷しまし」と呼ばれる厳粛な儀式。“まし”とは頭屋が引き受けて分霊を預かり“廻す”と考えられる。(H19.12. 2撮影)
高田山口神社 「ご神体御幣」
【高田山口神社 「ご神体御幣」】
高田山口神社 「御分霊の遷しまし」
【高田山口神社 「御分霊の遷しまし」】
 
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