下笠間のI家では年も押し迫った暮れの28日に正月に供えるモチを作る。翌日の29日は「苦」が付く日なのでモチはこしらえない。朝早くから搗いたモチは家のそれぞれの神さんに供えるもので膳に並べる。膳には長い髭のような根があるトコロイモ、ゴマメの田作り。昔は雑魚を川で採って来てそれを炊いたという。コウジミカンにクリと決まっている。モチの上には串ガキが置かれる。いつもニコニコ、仲睦まじくの語呂良く10個の干し柿だ。膳はイタダキサン、ダイジングウサン、ダイコクサン、エビスサン、サンポウコウジンサン、センゾサン、ミズコサン、イナリサンの8種。イタダキサンはモチを四つ並べられた。家族が増えますようにとモチの数は家族の人数に一つ加えた数にする。サンポコウジンサン(三宝荒神)は竈に供えるもので三段の重ねモチ。福の神とされるダイコクサン(大黒)、エビスサン(戎)の一枚モチは大判小判の形にする。二段重ねのモチはダイジングウサン(大神宮)で、二つ作る。同じく二段重ねのモチにはセンゾサン(先祖)、ミズコサン(水子)、イナリサン(稲荷)がある。真ん中にヘソと呼ばれる突起したモチをくっつけているモチもある。正月明けの三日に食べるミカヅキサン(三日月)、旧暦五日はゴヤサン(五夜)、十五日がジュウゴヤサン(十五夜)、ニジュウサンヤサン(二十三夜)、ニジュウロクヤサン(二十六夜)だ。ヘソが無いのはツキノカズノモチ(月の数)で一年間の月数を作る。閏年の場合は13個になる。ヤマノカミ(山の神)は平らなモチで山の神さんに供える(H21.12.30撮影)
下笠間 「正月のモチ作り」
【下笠間 「正月のモチ作り」】
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